(6)大型連休と菖蒲湯 資質と能力
新緑の季節。朝晩はまだ肌寒い日もあるが、陽気に誘われて外に出かけたくなるような気分になる今日この頃。
私は今年も5月5日に「菖蒲湯(しょうぶゆ)」に入った。ご存じの方も多いと思うが、菖蒲湯は邪気払い・厄除け、そして健やかな成長を願って行う風習である。
その起源は古代中国にあるとされ、雨季には邪気が入りやすいと考えられていたことから、薬草の香りでそれを払うという文化が生まれた。日本では端午の節句の行事として定着している。今年一年、これで元気に過ごせそうだと思った次第である(笑)。
さて、連休中には、新紙幣の一万円札の肖像に採用された渋沢栄一氏の著書『論語と算盤』を読み終えた。要点をまとめると、「論語と算盤とは一致しなければならない」、すなわち道徳と経済は両立すべきであり、利益追求と社会貢献は調和されるべきだ、という思想が説かれている。
渋沢氏は、明治政府で官吏を務めた後、日本経済の基盤づくりに大きな足跡を残した実業界の巨人である。時代こそ異なるが、発想力と行動力、そして何よりもビジョンと構想力の大きさを、著書からも強く感じた。そしてその根底にあるのが、孔子の思想をまとめた「論語」への深い共鳴である。
道徳なき経済活動の危うさ、そして社会に貢献することの意義を、私自身も改めて考えさせられた。
先日開催された全社会議では、「資質と能力」について話をした。
資質とは、生まれ持った性格や特性のことであり、その人らしさや個性とも言える。一方、能力とは、課題や行動に対して求められる知識や技術を指す。能力の中には先天的な要素もあるが、多くは経験や学習を通じて身につけていく後天的な力である。ゆえに、仕事において「資質」と「能力」は分けて考える必要がある。
たとえば、「工事後の清掃が綺麗でなかった」とお客様からクレームをいただいたとする。このとき、清掃のスキルがありながら怠ったのであれば、それは指導や反省が必要な行動上の問題である。
しかし、本人が「綺麗にしたつもり」だった場合、それは「綺麗にするとはどういうことか」という基準がそもそも育っていない可能性があり、これは能力ではなく資質の問題となる。つまり教育と経験によって引き上げていくべき部分である。
ある経営者から、「最近は“教育・指導・ハラスメント”の境界が曖昧で、社員にどう声をかけるべきか迷う」という声を聞いた。私もまったく同感である。
特に難しいのは、「能力」ではなく「資質」についての指摘だ。人格を否定されたと捉えられてしまえば、たとえ善意であってもハラスメントと受け取られる可能性がある。
だからこそ、私は社員にこう伝えた。
「能力を上げることを『向上』という。資質を高めることを『成長』という。
私たちは仕事を通じて人格を磨く。これもまた、仕事の大切な目的の一つである。
能力の不足は自分自身で気づくことができるが、資質の不足は他人からの指摘がないと気づけないことがある。
そのときはムッとするかもしれないが、『教えてくれてありがとう』『成長の機会をくれてありがとう』と思ってほしい。
そして、資質の成長機会を与える側も、どうか“愛情を持って”伝えてほしい」
時代は大きく変化している。お客様のニーズも日々進化している。しかし、変わらぬ価値も確かに存在する。
弊社は、渋沢栄一氏が説いた「論語と算盤」の精神、そして「仕事を通じて人間的成長を目指す」という理念を、これからも大切にしていきたい。
課題、難題、問題はすべて成長のチャンス。これからも、しっかりと向き合いながら前へ進んでいきたい。

最高経営責任者 蜘手 健介
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