（36）師走の大阪、広島にて（2025.12.15）

「雪、降ってたんだ」

　この原稿を書いている12月15日の飛騨高山の朝はうっすらとした銀世界。昨日の夜から朝にかけて降雪があったようだ。

　12月に入り、あっという間に半月が経過した。あと2週間で今年も終わりだ。本当に早い。師走とはよく言ったものだと思う。

　私は雪が嫌いではない。降雪量が多くなれば「雪かき」は重労働だが、あたり一面が真っ白に染まる景色は、やはり気持ちがいい。昨年、スキー板などを新調したものの、あまり行けなかった。今シーズンは時間を作ってゲレンデに行きたいと思う。今からとても楽しみにしている。

　先週は名古屋でオンラインJackアカデミーを行い、その後大阪へ移動してJackアカデミーを開催した。12月のアカデミーは大阪開催が通例となっており、今年も忘年会は、てっちり屋の「光」で行った。

　毎年この店に来る義理があるわけではないが、「光」に来ると「今年も元気に仕事ができたな」と思う。10数年前と比べると価格は上がったが、これもご時世だろう。来年もまた大阪で開催できることを願っている。

　翌日は広島へ移動し、Jack中四国ブロックのオープンJackアカデミーを開催した。参加人数は6名と少人数だったが、懇親会も含め、刺激と学びの多い時間となった。 特にAIにハマったというオオサワ創研社の大澤社長の話は、とても興味深いものだった。

　「欲しいものがあったが、世の中になかった。だから作った」とAIでシステムを作ろうと毎日、向き合い完成をしたという自社用システムを見せてもらったが、その完成度の高さには目を疑った。

　おそらく同じレベルをプロのエンジニアに依頼すると制作に長時間、高額の費用がかかっていただろう。それを素人（？）がAIを駆使することで、ここまで作れるのかと驚いた。すぐに製品化しても十分通用する出来栄えだった。

　2025年は、AIが身近に利用できるものだと、多くの人が認識した年だった。来年は、それを本格的に活用する元年になるだろうと予測しているがその一端を見た気がした。これがこれからのスタンダードになったら、面白い時代になる。

　米国では「ブルーカラービリオネア」が脚光を浴びている。技術を教える教育機関に若者が殺到し、配管工や設備工といった仕事が人気で、給与も右肩上がりだという。 大澤社長曰く　「プログラミングの基礎はあったほうがいいが、絶対ではない時代になった」 　 　

　日本でも子どもたちにプログラミングを教える授業や塾があるが、あと数年もすれば、「話すこと」でシステムが構築できる時代になるかもしれない。システムエンジニアの需要はどうなるのか。属人的でない士業の業務は、どの程度削減されるのだろうか。

　AIがもたらす可能性は、短期間では必ずしもポジティブなものばかりではないだろう。それでも、変化を楽しみ、受け入れる人生でありたいと思う。

　またリフォーム業界の話になるが、この2日間で「大型リフォームやリノベーション案件が激減した」という話をよく耳にした。4月からの建築基準法における4号特例廃止に伴う駆け込み需要と、その反動の影響が大きかったという意見もあった。

　私見だが、大型リフォームや全面改修リフォームの需要は、今後微減すると考えている。これまでの需要と今後の需要、そして施主属性も、切り替わりの時期に来ている。新築のように雪崩を打って崩れることはないが、法整備や助成金の切り替わりのタイミングで、需要増と反動減を繰り返していくと予測しており、引き続き注視している。

　さて翌日、東広島でゴルフをラウンドしたのだが、元ハッピーホームの清川社長が参加された。久しぶりにお会いしたが、何も変わっていなかったのが嬉しかった。

　清川社長は数年前に同社を売却し、同時に経営していた福祉会社へ事業を集約・集中させ、安定的に利益を出す企業へと成長させていた。最近では海外事業にも取り組む計画があるそうで、その話も非常に面白かった。

　現在50歳だという。私の周りでも、50歳から60歳にかけて、自分の居場所や性格に合った事業体へと落ち着いていく人を多く見てきた。

　若い頃はコンサル会社や友人経営者の言葉に影響され、出店や採用を進めてきたが、性格的に向いていないと気づき、現場に出てお客様と向き合う経営へと見直した人。人材が集まらず、結果的に個人経営規模になったものの、その方が日々の充実感が増したという人もいる。 人生は人それぞれで、正解も不正解もない。

　50歳を超えて「やりたいことがない」というのは寂しい話だが、これまでやってきたことを一歩引いて、客観的・俯瞰的に捉えることも、また重要だ。

　「リフォーム会社は難しかったけれど、やりたいことはたくさんあります」

　心の若さは、好奇心と行動力から生まれる。

私もそうありたいと思った、大阪・広島出張だった。