(17)頑固者と風見鶏 盛岡で感じたこと(2025.8.4)
7月20日の海の日から8月お盆までは私たちリフォーム業界ではいわゆる「反響数=集客数」が減少する時期になる。
同業の方にアンケートをとっても「通常の月より集客数は減少する」という回答が最も多く例年のことながら対策に苦慮する時期だ。旅行前、帰省前ということで出費を控える。さらに最近は暑すぎて何か新しいことを始める気になれないといったことが要因としてあると考えられるが、加えて社員にとっても夏休み前でお盆前に終わらさなくてはならない仕事が山積していること、自身の夏休み前で気持ちが少し緩むことも重なり夏は業績が低迷するのが通常、と自分に言い訳をしながら原稿を書き上げている今日この頃だが、やはり夏休みといえば旅行のシーズンである。
私も若い時は沖縄や北海道といったところが旅行先と選ぶことが多かったが、50歳、つまりシニアになってから東北がとても面白い。特にこの時期は「東北6大祭り」と称される青森ねぶた、秋田の竿燈祭り、仙台の七夕祭り、福島のわらじ祭り、山形の花笠まつり、そして盛岡のさんさ踊りがある。
先日、盛岡で所用があり出張を予定していた。もう1泊したら「盛岡さんさ踊り」とスケジュールが合うと分かったため急いで盛岡で延泊することに。
東北6大祭はどの祭も個性があって面白いが「盛岡さんさ踊り」もとても活力があり魅力的で楽しかった。
開始時間まで少し時間に余裕があったので、盛岡県立美術館へ立ち寄った。建物自体も個性的だったが常設展も素晴らしかった。特徴は、萬鐵五郎、松本竣介、舟越保武ら、地元岩手に由来する美術家たちの作品群を中心としたコレクションだったこと。それぞれの作品と作風を見ながら感じたことがあった。
岩手県には各界に著名人がいる。政治家では「剛腕政治家」と呼ばれた小沢一郎氏、実直で地道に積み上げて地位を築いた元首相の鈴木善幸氏。また宮沢賢治や石川啄木といった「人間の内面に問いかける作品」に特徴がある作家。最近では世界のスーパースター大谷翔平選手や同じくMLBで活躍している菊池雄星選手がいる。
美術館で出会った作家から感じた「頑固さ」はこれらの人物にも共通しているのではないか、そう感じた次第。
県民性として一括りにするのは失礼だと思うが、地理と風土に育まれた粘り強さや忍耐力、江戸時代に岩手の大半を支配していた盛岡藩(南部藩)は質素倹約を重んじ、武士も農民も「余計なことは口に出さず身を律する」文化だったという。
毎日話題を届けてくれる「頑固者」といえば大谷翔平選手もそうだろうと思う。
二刀流は無理、M L Bでは通用しないと言われても自分を変えることなく(ある意味、外野の意見に耐え)、今の自分を確立。まだ高みへ行こうとしているその姿は頑固者以外の何者でもないと思える。
繰り返しになるが、これが東北地方の祭や風習、風俗に至るまで通じているとしたら、自分自身を貫き通すある種の「しつこさ」が50歳を超えて心地良く感じているのかもしれない。
それは自分が潜在的に持ち合わせている「頑固さ」が時を経て薄れてきているのかもしれない、そうとも感じた。
経営にはある種の「しつこさ」は必要だ。しかし結果を出し競争を生き抜くためには、特に組織の長には時に「風見鶏」になる必要もある。
政治の世界でも過去に風見鶏と言われた人物は多数いた。信念が強く頑固者と空気と流れを読む風見鶏。少子高齢化かつ低成長時代に求められるリーダーはどちらも併せ持ったハイブリッド型ということになるだろうか。
私たちは季節がどう変わろうと、信じる道を突き進むしか方法を知らない。これまでも「儲け話」を聞きかじり色々と手を出したこともあった。もちろん時流の変化に合わせて、自らを変化、変革させることを拒んではならない。むしろ老齢になった時、過去の成功体験にしがみつく人もたくさん見てきた。そうはなりたくないと思う。
しかし自分の気持ちの底にあるもの、信じているものは大切にしたい。
「時に風見鶏になることもあるが、やはり頑固者でいこう」と盛岡を後にした次第。

最高経営責任者 蜘手 健介
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