(15)知恵と工夫、参議院選挙、国民の期待と関心(2025.7.21)
毎年7月、経営者研修を兼ねて北海道・札幌を訪れているが、今年の会食で利用した居酒屋のシステムがとても興味深かった。
私たちは10名で、一人あたり8,000円のコースを予約し、個別にドリンクや追加料理を頼んで、会計は9,000〜10,000円程度となった。お開きの時間が来て幹事(北海道在住)か「現金のみでお願いします」と提示された金額は、なんと「4,500円」だった。
「えっ? 安すぎない? 計算ミスでは?」と皆が驚いたが、幹事の説明はこうだった。
「この居酒屋は会員制で、年間8万円(正確な金額は失念)を払うと、連れてきた人の飲食代が半額になるんです。」なるほど、面白い仕組みだ。8,000円のコースがエリア的に高めなのか、利用回数に制限があるのかなど細かなことはわからないが、「半額になる居酒屋」という体験は強烈に印象に残り、名古屋に戻ってから多くの人に話した。それだけ満足度が高かったということだ。札幌の飲食業界、特に居酒屋は激戦区だろうと思う。この仕組みで競争に勝ち、利益が出るならW I N―W I Nである。
暑さが本格化した7月初旬、腰や背中の張りが強くなり、睡眠や姿勢にも影響が出始めていた。そんな時、ある方から「鍼を試してみたら?」と助言をいただいた。
(鍼のチクっとした感じは苦手なんだよな)と思いつつ、名古屋市内の鍼灸院を紹介してもらい、所用ついでに立ち寄ってみた。
鍼・電気・施術・姿勢矯正など多彩なメニューが揃っていたが、中でも興味深かったのが「通い放題プラン」だった。たとえば3ヶ月で定額を支払えば、その期間中は何度でも(特定の)矯正施術を受けられるという仕組みだ。
「毎日でもいいんですか?」「はい、毎日でも大丈夫です。」
「元はどのくらいで取れますか?」「週1〜2回以上で十分取れます。」
スポーツマッサージなら月1回、1万円前後の出費。予約も手間がかかる。対してこの通い放題なら、気軽に通え、身体の状態を定期的に整える習慣にもつながる。しかも経済的。これで効果があれば本当の意味のメンテナンスができる。
聞くと最近は、接骨院を中心にこの「定額制」「通い放題」のモデルが広がっていると聞く。いわばこれも「サブスク」のサービスである。
日本の経済は低成長時代に入っておりどのような業界、大手であっても安泰はない。札幌の会員制居酒屋、名古屋の定額制鍼灸院の事例では与えられた環境の中で創意工夫し、現場で働く人たちの知恵を感じた次第。
閑話休題。
人口減少、高齢化、経済低成長の日本に明るい未来はあるのか。
7月20日、参議院選挙の投開票が行われた。自民・公明の与党は47議席にとどまり、過半数割れ。衆議院に続いて“少数与党”という構図になった(本稿執筆時点では最終確定前)。
詳細を見ると、自民党は過去最少に並び、公明党も苦戦。一方で、国民民主党は非改選とあわせて21議席を獲得し、予算を伴う法案提出が可能に。参政党も11議席に達し、単独での法案提出ができる勢力となった。保守党も2議席を獲得し、衆参あわせて政党要件を満たすに至った。
一方、共産党は3議席にとどまり、れいわ新選組は2議席から3議席へ微増という結果。
私見を述べれば、今回の焦点は「与党が過半数を維持できるか」ではなく、「どれほどの惨敗になるか」だった。石破氏の看板で47議席は“大健闘”だろう。
今後注目される政局だが、石破氏には過去の総理につきものの“キングメーカー”が見当たらない。総裁になっても「火中の栗を拾う」役目にしかならず、かつての村山内閣のような政局再編が起きる可能性は低いと思う。
政策ごとに合意形成をするという政権運営になるのかもしれないが、ただ野党が勢力を伸ばしても政権が近づくと「擬似自民党化」してしまい、有権者を落胆させるという歴史が繰り返されてきた。
この後の政権運営がどのような構図になるかはわからないが、野党にかかる期待と関心度は近年では最も高いということが証明された。
先述したが、人口減少、高齢化、経済低成長の日本に明るい未来はあるのか。
期待していいのか、それとも期待し過ぎない方がいいのか。選挙で何かが大きく変わるのか。それとも大して変わらないのか。
どんな状況にあろうと私たちは与えられた環境で最大のパフォーマンスをするしかない、と思った次第。

最高経営責任者 蜘手 健介
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