(15)悪質リフォーム問題に思う(2026.7.13)
ニュースを2本共有する。
「点検商法」悪質リフォーム最多83件、被害額151億円…「匿流」関与で手口も巧妙化(読売新聞オンライン 3月26日)
「昨年1年間に全国の警察が摘発した「点検商法」による住宅の悪質リフォームに関する事件は83件(前年比17件増)で、統計が残る2010年以降で最多だったことが警察庁のまとめでわかった。「匿名・流動型犯罪グループ(匿流)」が資金源にしており、警察当局は摘発を強化している。」
認知症高齢者宅を「激アツ」 高額リフォーム契約の会社社長逮捕(毎日新聞オンライン 7月2日)
「認知症の高齢者に相場より高額のリフォーム工事契約を結ばせ、約2000万円を支払わせたとして埼玉県警は2日、東京都杉並区の住宅リフォーム会社の社長と従業員ら計4人を準詐欺容疑で逮捕した。4人の認否は明らかにしていない。水を床にまき、水漏れを信じ込ませた。県警は、望月容疑者らが集合住宅の高齢者らを狙って高額の契約を結ばせ、2022~25年に1都4県の約850人から約10億円を受け取ったとみている。容疑者らのスマートフォンには、認知症の疑いがある高齢者宅を「激アツ」「ド当たり」などと表現したやり取りが残っていたという。」
以上、ここまで。
これらは「リフォーム」という事業の仕組みを悪用した、卑劣な「詐欺」にほかならない。
彼らにとっては手段がリフォームだったというだけで、他の事業でも同様の詐欺を働くのではないか。しかし、住宅リフォームという性質上、「他人が気づきにくい(密室になりやすい)」「不安を煽りやすい」という、悪用されやすい側面があるのは事実である。だからこそ私たちは、経営理念を組織の隅々まで浸透させ、自らを厳しく律する社員教育を徹底しなければならないと心から痛感する。
一方、一般の消費者から見れば、彼らも私たちも同じ「リフォーム業界」と一括りに見えてしまうのが現実だ。真面目に地域に根ざして営む事業者にとって、これほど迷惑で憤りを感じることはない。しかし、「そう見えている」という事実から目を背けず、真摯に受け止める必要がある。
こうしたニュースが出るたび、周囲の方々から「業界団体や経営者として、何か悪質リフォーム対策はできないのか」と声をかけていただく。では、私たちに一体何ができるだろうか。
例えば「免許制や資格制度を厳格化して悪質業者を排除すべきだ」という意見はどうだろうか。
現実には、詐欺を働くような輩は、その「公的資格」や「お墨付き」の響きすらハク付けとして巧妙に悪用してくる可能性もある。免許や制度だけで彼らを選別し、排除するのは極めて困難だと言わざるを得ない。
結局のところ、本質的な防衛策は次の2点に尽きる。
1.悪質リフォームの手口についての周知徹底
2.「契約する前に相談できる」無料相談窓口の設置と利用促進
悪質業者が最も嫌がるのは、消費者がその場で抱え込まず、外のプロや家族に「相談すること」である。だからこそ、怪しい訪問があったら「まずは相談する」という仕組みを地域に根付かせなければならない。
ちなみに、警察庁ではHPにて色々な詐欺対策を掲載している
点検商法 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/higai/shoho/tenken.html
その中で注意すべき言葉として以下のような事例が挙げられている。
「屋根に不具合がありますよ」
「知り合いの業者に点検してもらった方がいいですよ。知り合いにいなければ代わりに点検しましょうか」
しかし、これらはあまりに安易な警告だと言わざるを得ない。
なぜなら、地域の建物を守りたいという純粋なプロの親切心や、台風・大雪の被害を未然に防ぐための正当なアドバイスとして、真面目な会社も全く同じ言葉を使っているからだ。言葉の表面だけを捉えて「すべて悪」と遮断してしまっては、本当に必要な住まいのメンテナンス機会まで奪われ、最終的に消費者が不利益を被ることになってしまう。
問われているのは「どの言葉を使うか」ではなく、「その言葉の裏にあるプロセスが透明かどうか」である。
だからこそ有効なのが、地域の安全を守る「警察」や「行政」と、私たち「地元のプロ」との連携だ。民間企業が単独で「注意してください」と発信しても自社の営業活動と誤解されるが、行政とタッグを組んで共同セミナーなどを開催すれば、圧倒的な公的信頼のもとで住民の皆様に正しい防衛策を届けることができる。
セミナーでは、言葉そのものを規制するのではなく、「その場での即決を迫る」「他社に見せるのを嫌がる」といった詐欺師特有の行動パターン(プロセス)を伝える。そして、「もし不安な声をかけられたら、契約前にいつでもうちに見積書を持ってきてください。プロの目で客観的にセカンドオピニオンを行います」と言える駆け込み寺のような存在になること。これこそが、地元の優良業者が果たすべき真の役割ではないだろうか。
単に自社の利益を追うだけでなく、警察や行政、そして地域の皆様と共に手を取り合い、「事前相談」を当たり前のカルチャー(地域防犯のインフラ)にしていくこと。遠回りのようだが、これこそが悪質業者を排除し、真面目な会社が正当に評価され、大切な顧客を守るためにできることをコツコツを重ねるしかない。
最高経営責任者 蜘手 健介
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