(3)好きを仕事にする「第二の挑戦」(2025.4.21)
Jackグループの4月の企業視察会は千葉県八街市のインテックジャパン社に開催された。かれこれお付き合いも10年以上になる山田社長とお会いするのも久しぶりだった。大変勉強になった。ありがとうございました。
八街は「やちまた」と読む。特産物は落花生で生産量は日本一。私も知らなかったが「やちボコリ」という特有の砂ぼこりが有名で、自動車の運転にも支障があるというから相当なものなのだろう。
インテックジャパン社が拠点とするその八街市の人口は約3万世帯という比較的小規模な市場。同社は、その限られたエリア内で賃貸経営、買取再販、住宅リフォーム、外壁塗装などを多角的に展開し、圧倒的な認知度を築いている。
今回の企業視察のメインは同社が新たに手がけている「塊根植物(コーデックス)」の生産・販売事業「X-プランツ」だった。
X-PLANTS
コロナ禍で芽吹いた「もうひとつの人生」
Xプランツの立ち上げは、まさにコロナ禍の真っ只中。山田社長は、元々個人的な趣味として塊根植物の栽培を楽しんでいたという。独特なフォルムと育てがいのある植物たちは、一部の愛好家の間で熱狂的な人気がある。その趣味が、オンライン販売をきっかけに予想外の反響を呼び、本格的な事業化に至ることになった。
事業再構築補助金を活用してハウスや店舗を建設し、事業としての土台をしっかりと固めている。
「365日、農家をやっています」と山田社長は語っていたが、生産、流通、販売までを一気通貫で手がけるこのモデルは、住宅業界で培った「現場をつくる力」が存分に活かされていると感じた。
私は若者には「好きなことを仕事にするな」と話すことがある。なぜなら、若いうちはまだ「自分が何者か」もわからず、好きだと思っていたものが本質的な適性と違うケースも多いからだ。
しかし一方で、50歳を過ぎ自分が何者かを知り、人生の終わり方、残された時間の使い方を考えたときに、好きなことが仕事になるのはとても幸せなことだと思う。私の実弟も事業再構築補助金にてゴルフのインドア練習場とジムを事業として始めた。とても幸せそうに見える。
好きなことを仕事にする。成熟した経営者としての視点と人生哲学が込められていると感じる。
第一の人生では「経済性」を優先し、地域の中で確実な成果を出す。一方で、第二の人生では「自己実現」や「社会との関わり」に軸足を移していく。そのバランスが見事に形になったのが、Xプランツという新事業は大変刺激的だった。
私たち経営者は、とかく数字や成果に追われがちだ。事業とは、売上と利益を積み上げる営みであり、社員や顧客を守る責任がある。しかしその一方で、「自分の人生をどう締めくくるか」というテーマは、誰しも避けて通れない。
「本業を引退した後、ゆっくりと植物たちの過ごしたい」
山田社長のように、事業の“余白”を活かして、自分自身が夢中になれる世界に踏み出す姿は、経営者としての新しいあり方を教えてくれた。
Xプランツの温室には、思わず足を止めてしまうような不思議な植物たちが並んでいる。そのひとつひとつが、これまでの人生と、これからの挑戦が交差した象徴のように感じられた。
地方で、限られた資源の中でも、新たな価値を生み出す姿勢。人生の後半にもう一度「仕事を楽しむ」姿。そのあり方に、未来を感じた。
私たちも、自社の中に「好きから始まる仕事の芽」を見逃していないか。社員にとってのライフワークを応援する余地はないか。そんな問いを持ち帰る、視察の時間となった。

最高経営責任者 蜘手 健介
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