(35)2025年総括、2026年の見通し(2025.12.8)
先日、業界最大のメディアであるリフォーム産業新聞社の福田さんからお声がけいただき、「2026年大予測オンラインディスカッション」のパネラーとして登壇した。ほかにもリノベーション、新築工務店、塗装など各業界・団体の方々が参加し、それぞれの議題について意見を述べる内容であった。
住宅リフォームをはじめ、現場作業を軸とする事業は基本的に「地域ビジネス」であり、その地域環境の影響を必ず受ける。日本では「人口減少」と、人口の少ない地域から多い地域への移動という「人口流動」が同時に進行している。そのため、東京とそれ以外、中核都市と地方都市、県庁所在地と市町村では、抱える課題や問題の深刻度が大きく異なる。
とはいえ、大局観や人の価値観は全国共通だ。この本質を理解し、受容しなければ企業の未来は開けない。
ディスカッションではさまざまな意見が出た。
まず、新築事業をメインにする工務店は苦況が続いているようだ。国内大手ハウスメーカーや住宅分譲会社も同様で、その影響は商社、問屋、メーカーにも及ぶ。パナソニックのハウジング事業の8割が大手サッシメーカーのYKKに売却されたことは驚きであったが、今後何がどう変わるのかはまだ不透明である。
しかしその中にあっても好調な工務店は存在する。思うに軸は「天才肌の経営者」もしくは「スーパー営業マン」の存在だ。世の中の空気を読み、適切なタイミングで値上げを行えた会社は、棟数が減っても売上を伸ばしている。
塗装業界については、私も普段から塗装専門店または塗料メーカーと懇談する機会がある、聞くところによると各社の見解はほぼ一致している。
BtoCは減少傾向、BtoBは増加傾向。工場の労働環境改善や省エネルギー対策が背景にあるようだ。
外壁塗料材として「スーパームキコート」が発売されてからもう15年ほどになる。それ以前は外壁塗装のサイクルは10年が主流だったが、現在は20〜25年に伸びていることや、巣ごもり需要の先食い、塗装職人の独立や元請け化などにより需要減・供給増の現状。
その中で伸びている会社の特徴は「一本勝負」をしているところだ。外壁はA塗料、屋根はカバー工法一本といった具合で、会社として最も信頼する商品に絞っている。社員育成が複雑にならない点も功を奏している。
リノベ業界については、地域差が大きい。都市部はマンションリノベ、地方は戸建て大規模改修が中心である。厳しいという声もあれば好調だという声もある。
戸建ての大規模改修は、4月から開始された「建築確認4号特例の廃止」が大きく影響した。マンションリノベは、新築マンション価格の高騰に伴う中古需要の増加もあり、以前より“集客が減っている”という声もあるが高額化により売上増という会社もある。
私はディスカッションで「2026年は2025年に現れた傾向がそのまま続く」と述べた。
例えばAIだ。これまでのAIは「便利そうだがよくわからない」という段階だったが、2025年には「なるほど、こう使うのか」という実感レベルにまで一気に引き上がった。2026年は使用頻度が飛躍的に高まり、システムや管理業務の多くを補完するだろう。ほぼ無料に近いレベルで業務効率化が図れるシステムの話題も身近になってきた。リテラシーが低い人でも使えるレベルになり、「AI活用元年」になるだろう。
もう一つは人材不足である。それも社員ではなく「現場作業、すなわち職人・作業員」だ。私たちの業界は受注しても工事が完了しなければ売上にならない。工事を担う人材の高齢化と不足は確実に進んでおり、この傾向は加速する。長期的・短期的に取り組むべき課題は明確であり、そこに注力しつつ自社の自力を高めていく必要がある。
経済は需要と供給のバランスで成り立ち、そこには「資本の見えざる手」が働いている。住宅リフォームの需要は大小さまざまだが依然として多い。情報が溢れる時代だからこそ、顧客との信頼関係を高め、地域に必要とされ、地域を活性化する事業主でありたい。
大きな変化の時代。複雑に見える時こそ、やるべきことはシンプルだ。自分たちの足元を整えながら、できることを少しずつ積み重ねていく。そんな姿勢が、2026年を穏やかに、そして実りある一年にしてくれる気がしている。
最高経営責任者 蜘手 健介
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