ホーチミンシティ旅行記

Robinの蜘手です。 コラムとして旅行記を書きましたので転載します。コラムと言っても歴史などの情報で、備忘録のようなものになってしまいましたがご容赦ください、、、 ベトナム・ホーチミン旅行記 　弊社では研修旅行を２年に一度で計画をしている。毎月、各社員はいくらかの旅行積み立てをしており、会社は旅行計画の際に決算状況などを鑑み、いくらかを負担し予算を組むという方式を取っている。６月３日から４日間の日程で、ベトナムのホーチミン市へ訪れた。今回のベトナム訪問への懸念は最近、活発になってきている中国との衝突の影響であった。近年、中国との間にて南シナ海の領有権を巡り争いが続いている。2014年5月には木製のベトナム漁船が鋼鉄製の中国船に体当たりされ沈没した。ネット上ではその動画が公開されており、物議を醸している。 意外に知らない人も多いためベトナムについて少し説明をしたい。 ベトナムはインドシナ半島東部に位置する社会主義共和制国家である。国土は南北に長く、国境は北は中国、西にラオス、カンボジアと接している。時差は２時間。首都はハノイ。北部の街である。最大の都市はホーチミンシティ。南部の都市である。流通通貨はドン。100,000ドンが日本円で500円。ここ数年、インフレが続いており経済成長も近隣諸国に比べ鈍化している。また民間会社の調査ではアジアで最も腐敗した国ランキングの常連下位国だとのこと。これは「富が資本家に集まる資本主義国家、富が権力者に集まる社会主義国家」と聞いたことがあるが、一党独裁の社会主義国家であることと無関係ではないだろう。日本はベトナムに対し最大のODA供与国でありその多くは生活を支えるインフラ事業に使われている。まだまだ経済は安定しているとはいえない。 さてベトナムの歴史は自立のための紛争と戦いの歴史であるともいえる。 1847年にフランスが侵攻して以来、実質的にフランスの植民地と化した。第2次世界大戦で日本はベトナムへ侵攻しフランス軍を消滅させた。一時的な日本統治があったが、日本は降伏。1945年9月2日、ハノイでホーチミン氏が独立宣言を読み上げ、今の国の形であるベトナム民主共和国が樹立された。 国内は落ち着くかにみえた。しかし再び、広域支配の復権を目指すフランスが侵攻。そして全面衝突。インドシナ戦争が始まった。脱植民地群は抵抗を強め、両国のこう着状態が続いた。その最中、フランスは最後の王であるバオダイを擁立して拠点としていたサイゴンを首都にしベトナム国を樹立。そしてフランスと脱植民地勢力の間でジュネーブ協定が成立。北緯17度線で南北で分けた分断国家が生まれた。これがその後の冷戦構造を背景に、中国、ソ連の支援を受けた北ベトナムとアメリカが介入した南ベトナムとのベトナム戦争へ発展することとなる。悲劇が繰り返された。約20年続いた激しく長い戦いも、アメリカ国内での世論もありアメリカは撤退。米軍でも6万人以上が犠牲となった。 ベトナム軍は25万人が犠牲となったが、民間犠牲者は300万人を超えた。米軍の使用した枯葉剤の被害者は200万人を超えるとされその後遺症に悩む人は今なお多く、私たちの記憶に新しい。 この南北分断時代の文化、風習、考え方の違いは訪問中でも感じることができた。「北のハノイ」「南のホーチミンシティ」という言葉は現地ガイドから幾度となく聞いた。自国内での紛争の歴史は、外国人である私たちが知る由もない心境が彼らには刻まれているのだろうか。 調べてみるとベトナムは地球幸福度ランキングでは５位であった。（日本は７４位）何が彼らを幸福とさせているのだろうか。主立った宗教があるわけでもないし、決して経済も豊かではない。しかしベトナム人の１人１人は「強い自立心」を持っている様に感じた。今回ツアー会社を利用したのだが、そのガイドが「中国の脅しにベトナムは屈しない」と語気を強めていたのが印象的であった。好戦的な中国に対し、憲法９条に依存し「和を持って尊しとす」という日本文化の理解は彼らには到底無理だろう。 発展途上国や新興国へ出向くと、いかに普段の私たちの生活が平穏であるかを知ることができる。自らをわかっているようで、実は何もわかっていないこともある。短い旅程ではあったが、改めて日本という国家と自分という個のあり方を考えさせられる旅であった。次回はハノイへ訪れてみたい。