CEO’s mail:21.2
寒中お見舞い申し上げます。Robinの蜘手です。寒暖差が大きい日が続きますね。
新型コロナウイルス感染拡大防止対策として岐阜県でも3月までの緊急事態宣言延長が決まりました。飲食店は営業時間を20時までとし、1日6万円の協力金が支払われます。その効果があってか20時以降開店している飲食店はほとんどない状態ですが、日中はというとそれほど人出が減ったという実感はありません。その事について個人個人の意識の薄さを指摘する人もいますが、ワイドショーを見るたび社会のあり方について芸能人にとやかく言われる筋合いはないという事と、政治家に対し国民が言うことを聞かないのは政治家をまったく信用できないからではないか、と思うのですがいかがでしょうか。
とまあ、愚痴をこぼしてみましたが、、、ここで松山鏡という落語をご紹介します。
その昔、越後の松山村には鏡がなかった。この村の正助という親孝行な正直者がお上からほうびをもらうことになった。村役人の前で正助は、両親の墓参りを毎日欠かさずしたのは当たり前のことで、お上から褒められてほうびをもらう事でもないから金も田地田畑もいらない、と言った。困った村役人がどんな無理難題でもかまわないから申してみろ、お上の威光で叶えてくれる、と言うと正助は、それなら18年前に死んだ父親に会わせてくれと言い出した。
これには村役人も弱ったが、名主から父親が正助と瓜二つだったことを聞き、箱に入れた鏡を持って来させた。箱の中を覗いた正助は驚いて喜ぶ。そこには父の顔があった。村役人は「子は親に似たるものをぞ、亡き人の恋しきときは鏡をぞ見よ」と歌を添えて、鏡の入った箱を正助に下げ渡した。正助は鏡を大事に家に持ち帰り、けっして人に見せるなと言われたので、納屋の古つづらの中にしまって、毎日そっと行っては鏡を見て、父に朝夕のあいさつをしていた。
これを女房のお光が怪しみ、正助の留守に納屋の古つづらを開けてビックリ、そこには不細工な女の顔があった。てっきり正助が引っ張り込んだ女と思い「われ、人の亭主取る面(つら)か!狸のような面しやがって」と泣きながら大騒ぎ。野良仕事から帰った正助の胸倉をつかんで、「さあ、殺せ」の大げんかが始まった。ちょうど表を通りかかった隣村の尼さんが、2人の間に割って入り事情を聞く。お光は正助がつづらの中に女子(おなご)を隠していると言い、正助はあれは父親(とっつぁま)だという。
尼さんは、「わかりました。私が女(あま)っこに会ってようくいい聞かせます」と、納屋に入り鏡を覗いて、そして2人にこう言った。「ふふふ、お光よ、正さんよ、喧嘩はやめなさい。2人があまり喧嘩するから、中の女は決まりが悪いと尼さんになったようです」と以上ここまで。
鏡は自分を写すもの。鏡がなければ自分がどんな顔をしているか知らないということが騒動になっている落語です。自分自分を知ることの難しさと、知らないことの愚かさを感じますが、別の視点で考えると、目の前で起きている出来事は、実は自分を写しているのではないか、という事です。
前総理の森喜朗さん(82)が性差別発言をし、世界を巻き込んで大騒動になっています。
もちろん言った事に対して何の弁解もできませんし、全国民から大バッシングを受けるのも仕方ないのですが、私はこの報道を見た時にこの松山鏡を思い出していました。
目の前で起きていることは鏡の中の自分自身だとすると、俺も調子に乗って自分本位のことを言う事あるよなあ、他人を見下して人をバカにする時もあるよなと思い、また、いじめはダメと言いつつ公人や芸能人を集中放火する人もいるよな、と思うのです。
我が身を振り返ってみて、謙虚でい続ける事の難しさを感じた次第。気づきと学びのある毎日に感謝です。

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