2022年8月 暑すぎる夏と積み重ねてきたもの
「今年の暑さはヤバイですね」という挨拶にも耳慣れてしまった今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。暑中お見舞い申し上げます。Robinの蜘手です。
私が子供の頃の飛騨高山は、夏の日中でも窓を全開にし「すだれ」をかけておけば気持ちよい風が抜けていくのが日常でした。エアコンを設置していない家も多かったですが、今は生活必需品になってしまいましたね。
少し前の話題ですが、7月1日に全国6か所で気温が40度に達したというニュースがありました。1日としては過去最多箇所だったようです。この原因が地球温暖化なのかどうかはともかく、確実に毎年少しずつ暑さが増していることの実感はあります。気象庁は最高気温が25度を超えた日を夏日、30度を超えた日を真夏日、35度を超えた日を猛暑日といい夏の暑さの目安にしていますが(夜間の最低気温が25度以上の日を熱帯夜という)、近い将来、40度を超えた日の名称を耳にする日が来るのでしょうか。私がサラリーマンなら「家から出ない日」に一票ですが、中小企業経営者としてはそうもいかないです(泣)。
さて最近、過去にロビンで新築をしてくださったお客様からのリフォーム依頼や新築見込客の紹介が続いています(現在、弊社の新築事業は売上ポートフォリオで5%未満だが、2014年当時までは70%だった)。
「友人が家に来て、家の中が涼しいことと光熱費の低さに驚いていました」とお聞きし嬉しく思いました。これだけ暑い日が続くと、住宅の断熱性や遮熱性の違いを体感する機会が増えるのかもしれないですね。
近年、気温がどんどん上がり続けていますが、光熱費も静かに値上がりしています。私が新築の初期営業をしていたころ、ローン額だけに目を向けず、光熱費や保険など生活費にも目を向けるようにお客様に説明をしていました。例えば建築費300万円と新生活の生活費1万円はどちらが高くつくか?
「そりゃ300万円の方が高いだろ。だって車も買える金額だぞ」という人もいました。しかし実際はローンを組む期間だけで計算しても、月1万円の生活費だと35年420回で420万円が捻出されるのに対し、300万円の建築費を1%で借り入れても350万円程度。それで70万円の差になります。断熱性能の高い家で1万円以上の光熱費の節約になるかは別としても、エアコンを全開で稼働させないといけない家と、そうでない家の住み心地、体感は金額以上の差があるはず、当時はそんな思いでお客様にお伝えしていました。
名古屋店はオープンから順調に新築受注ができていたのですが、後期は似たようなコンセプト、デザインの会社が増え差別化が難しくなっていました。価格でしか差をつけられない、そんな雰囲気でした。価格優位になるためどこかのFCに加入するか、ローコスト住宅を手がけた方がいいという意見もありました。もちろん私たちの組織や品質の問題もありました。受注環境が厳しくなる中、私も悩みましたが「ただ売れるだけの家ならロビンで建てなくてもいい」という思いが最後まであり、建築コストが高い高断熱の家にこだわり続けました。結局、その「意固地な方針」は魅力的な価格には対応せず、2014年の増税をきっかけとして緩やかに人員減を断行。名古屋店は2019年に閉鎖したのです。
それを機会に岐阜県に軸足、拠点を築き、創業時の基幹事業である住宅リフォームへ回帰。七転八起しながらも現在は当時の2.5倍の規模となり、おかげさまで住宅リフォーム売上は県下No.1を9年連続更新中です。
「弊社における名古屋店は負け戦だったのか。あの時、名古屋の社員を守るために他の手段はなかったのか」と今でも考える時があります。「断熱と遮熱はしっかりと施工する。それができないなら新築は撤退する」と啖呵(たんか)を切ったのを今でも覚えています。それが正しかったのかどうか、私には判断がつきません。
しかし 「1日も生きておわせば功徳積もるべし」(日蓮聖人)という言葉もあるように過去の決断を悔やむより、今こうやって事業を続けていられること、私を信頼しついてきてくれている社員、そして理解あるお客様がおられることに心から感謝しなきゃいかんな、と思う今日この頃です。
株式会社ロビン代表取締役 蜘手健介
前回のコラムはコチラから
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